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ゴルゴ「キュゥべえだと……?」(改稿版)第一部

2 :56513:2017/04/24(月) 06:42:11.24 ID:BFt+kkjbE
 5月の夜8時。
 ゴルゴの車は高速道路のインターチェンジを下りて見滝原市内に入ると、市の中心部に向けて街外れの物寂しい道を走り始めた。
車のヘッドライトと、ポツリポツリ立つ街灯、今しがた下りてきたばかりの高速道の散発的な照明に、彼が向かう先の市の繁華街からの距離を置いておぼろに薄められた光が混然となって周囲の朽ちた建物と、伸び放題の草の野原を照らし出し、
その人の手を離れた荒涼とした風景の中をゴルゴは黙然として車を走らせた。それほど速度を出してはいないが、夏の夜の草の香りを交えた夜気が、開け放した窓から風となって入って顔を打ち、心地良い。
「……」

「!」
 車で横を通過する際、街灯の明かりに照らされた、元は工場らしい廃屋の壁にチラリと奇妙な物を認め、ゴルゴは車を止めると車から降りた。

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