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立トスてレテス・備忘録

675 :◆p132.rs1IQ:2022/10/09(日) 19:44:06.54 ID:FOGh6k+i+
人間がいっぱい
ハリイ・ハリスン
浅倉久志[訳]
p64
 市場の入口付近には海草クラッカーを売る店が立ち並び、褐色、赤、青緑、色とりどりのクラ
ッカーが、ずらりと頭上に吊り下げられている。
「みどり二キロ」シャールは買いつけの店のあるじにそういってから、値段札に目をやった。
「また、キロ二十セントも値上がり!」
「仕入値が上がったんスよ、奥さん。こちとら、儲けがふえたわけじゃないんで」あるじは天秤
皿の片方に重りを置き、もう一方の皿へクラッカーをざらざらと振り出した。
「でも、こんなにどんどん値上げしなくたっていいじゃない?」シャールは秤の皿からクラッカ
ーのかけらをつまんで、?ばりながらいった。クラッカーの色は原料の海草の種類からくるのだ
が、彼女には緑のクラッカーが、ほかのよりヨードの臭みがすくなくて、いちばん味がいいよう
に思える。
「需要と供給、需要と供給」あるじは、タブが口を広げた買物袋へ、ざーっとクラッカーをあけ
た。「人間がふえるほど、品物がいきわたらなくなる。それに、海草の養殖場も、だんだん遠く
なる一方だそうでね。道のりが遠いと、値段も上がるってわけ」あるじはこの因果関係の説明を、
もう何べんも再生された録音のように、単調な声でそらんじた。

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