立トスてレテス・備忘録

1 ：◆p132.rs1IQ：2019/02/22(金) 07:57:46.66 ID:YBvEGoQOF

◆p132.rs1IQ専用スレです..φ(_ _)m

119 ：◆p132.rs1IQ：2019/03/28(木) 01:24:43.74 ID:4fOJiyD7Y

新聞が語る明治史　明治二六年〜明治四五年
土屋喬雄[監修]
荒木昌保[編集]
p497
明治四十三年（一九一〇年）
　　伊藤公狙撃犯人　安重根死刑
〔三・二八、國民〕　客年十月二十六日午前九時、伊藤公等を狙撃
したる安重根は、死刑宣告後延期を重ね事件当日より百五十日後、
日も時も同じき二十六日の午前九時頃全く執行せられたり、当日は
朝来暗雲天を鎖ざし、微雨蕭々として降りしきる、定刻に至るや、
安は看守に導かれて刑場に現はれしが、身には郷里の従弟安命根よ
り特に死装束として送り届けし新調の純白朝鮮紬の韓服を纏ひ、顔
色は稍々蒼白を呈し居しも、覚悟の体は十分に見受けられたり、刑
場には溝淵検察官、栗原典獄、園木通訳以下順次席に列なり、安が
心静かに最後の祈祷を捧げたるを俟つて典獄は被告に死刑執行文を

120 ：◆p132.rs1IQ：2019/03/28(木) 01:26:21.88 ID:OEatKrp8a

読み聞かせたる後ち、遺言の有無を聞き質せしに、彼れは極めて自
若とし、別に申残すことはなけれど、唯最後一言臨検諸公に願ふ
は、飽く迄東洋平和に御尽力ありたしと、他は何事も語らず、更ら
に最後の黙祷を許されたる後、午前九時四分刑壇に上り、同十五分
にして全く絶命したり、遺骸は立合ひ医師の検案を経たる上、典獄
が特別の厚意を以て製作したる厚松板の寝棺に納め、一時監獄内な
る教会堂に移し、爰にて共犯者禹、宋、柳の三名をして告別の祈祷
を捧げしめ安の二弟が遺骸下げ渡しの願出を嘆願せしも許されず、
午後一時旅順共同墓地に埋葬したり、是れより前、安の尚刑場に行
かざる前、親族に対して最終の面会を許し、典獄より是れが最後な
れば、心置きなく物語れと告げて握手せしめたるに、兄弟三人遂ひ
に相擁せんとして顔を見合せ、等しく跪きて約二十分間神に祈祷を
捧げ、歔欷流涕暫らくは言なかりし、其れより安は漸次顔を挙げ、

121 ：◆p132.rs1IQ：2019/03/28(木) 01:28:04.65 ID:trkbZ8psX

此の期に及んで未練がましく云ふべき事なし、只だ親戚と相談し、
我が亡き後の家事と、自分の遺子の世話を懇ろに頼みたる外何事も
語らず、水野、鎌田二辯護士も右の会見に立合ひ水野氏は是れ迄の
関係上懇ろに慰籍せしに、安は愁ひの眉を開らき斯くも厚情を賜ふ
上は、願はくば貴下も天守教を信ずるの人となれ、将来は天国に於
て共に語る処あらんなど物語りたりと、因に安が執筆中なりし東洋
平和論は、叙文のみ脱稿、死刑前二三日以来一切筆を採らず、専ら
祈祷に耽り、死する迄食事、睡眠に平常と少しの変異なかりしと。

安重根 - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E9%87%8D%E6%A0%B9